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『タネが危ない』 & 『自殺する種子』 [-2020本(農業)]

現在日本で流通販売されている野菜や花のタネはほとんどは圧倒的にF1種である。
数多くの種苗業者において固定種を販売している業者は全く少ない。
そのひとつ野口のタネ・野口種苗研究所の代表 野口勲氏がタネの世界に警鐘を鳴らす。
  → 野口のタネ・野口種苗研究所

【固定種】
地域で何世代にも渡って育てられ、自家採種を繰り返すことによって、
その土地の環境に適応するように遺伝的に安定していった品種のこと。

【F1種 (一代雑種、交配種 / First final generation)】
異なる性質のタネに人工的に掛け合わせて作った雑種の一代目。
この雑種からタネを採っても親と同じ野菜はできず、
姿形がメチャクチャな異品種ばかりになる。
現在世の中に流通している野菜や花のタネの多くがF1である。


野口勲氏著者『タネが危ない』の「はじめに」より抜粋・・・

  F1種は現在、雄性不稔という、
  花粉のできない突然変異の個体から作られることが多くなっている。
  子孫を残せないミトコンドリア異常の植物だけが、
  たった一粒から一万、一億、一兆、一京と無限に殖やされて、
  世界中の人々が食べていることを、どれだけの人が知っているだろう。
  子孫を作れない植物ばかり食べ続けていて、
  動物に異常は現れないのだろうか。
  タネ屋の3代目だから感じた素朴な疑問を、しばらく追求してみたい。

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もちろん聞いたことがあるF1種だが、ここまで怖い世界だとは知らなかった。
某大手種苗会社の技術者のひとりは、日夜雄性不稔などのタネを研究開発しているが、
自分と家族が食べる野菜の分は、
著者の店から健康な昔ながらの野菜のタネを買って自分で育てて食べているそうだ。
内部事情に詳しい人がこれだから説得力もあろうもの。

単なる植物、食物の話を越えて生命とはなんたるか、とも考えるべきなので、
農業関係者よりも一般の人々も知るべき世界のこと=必読の書だ。


タネが危ない

タネが危ない

  • 作者: 野口 勲
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2011/09/06
  • メディア: 単行本


次も同時に購入して併せて読んだ本。
本書タイトル『自殺する種子』とはターミネーターテクノロジーのことであろう。

【ターミネーターテクノロジー】
“ 植物遺伝子発現制御技術 ” といい、
種子を死滅させる毒性タンパクを作る遺伝子を植物の細胞の中に組み込み、
一回目の発芽の時は、その毒素遺伝子にカギがかけられて種実は収穫できるが、
二回目にはそのカギが外れて種子が死滅=自殺するという仕組み。
興味のある方は以下のリンクを参照されたし。
  → 企業による種子の独占を可能にするターミネーターテクノロジー
  → 自殺する種子「ターミネーター・テクノロジー」とモンサント社の種苗支配

その他、世間を賑わした鳥・豚インフルエンザ、狂牛病、汚染米、毒餃子など、
それらの事件の根本は、現在の世の中のしくみによる必然な結果とも感じてしまう。
ここまで食に関する世界への違和感には、ただ恐怖のひと言だ。
「金儲けできれば何をやってもよい」 「世界はオレもの(ジャイアン思想?)」
が大前提としてだから恐ろしい。
本当に人体への影響は無いのか?
いつか人間には天より罰の下る日が来るかも知れない・・・。

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自殺する種子―アグロバイオ企業が食を支配する (平凡社新書)

自殺する種子―アグロバイオ企業が食を支配する (平凡社新書)

  • 作者: 安田 節子
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/06
  • メディア: 新書


情報を公開しない、知らせずにこっそりと強かに一部の利権者は物事を進めている。
そこが怖い!
逆に、知らないことが幸せとも云えるが・・・こんなことで良いのか!?

人が生きるための根本の食の世界のことなれば、ひとりひとりが考えるべきことと思う。
その参考に両書をお薦めしたい。

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