SSブログ

息の合わない木こり親子 [2011仕事・作業]

「お前は木が切れないし、業者に頼んだらべらぼうに金を取られる。だから俺が死ぬ前に切るぞ」

最近このような父親の言動が多く、それに心穏やかでいられるほど私は人間ができていない。
聞きたくないひと言に今日も内心嫌な気持ちに包まれる・・・。

50.jpg

その切る木とは、実家の防風林の一部だ。
昭和35年(1960年)頃に若かりし大工の父親が現在の地に家を建てた時は、
風の通り道である裏方面は何も無かったので、防風林として杉の木などを数本植樹したらしい。

51.JPG

それが現在は裏に小屋、また風上である私が住んでいる地域に多くの住宅が建ったこともあり、
風の影響は随分と軽減されて、さほど問題が無くなったこと。
そして、防風林の一部は実家の屋根などに逆に邪魔になるなど負の面が目立ってきたこともあり、
今のうちにそれらを伐採してしまおう、と云うわけだ。

52.jpg

作業は父親がチェーンソーで切り、最後の一皮の時=倒れる直前に、
私がパワーショベルでチョイ♪・・・と前へ押し倒す、という段取りだ。

53.jpg

チェーンソー使いも、何でもできる父親の木こり姿は頼もしい。

54.jpg

父親の、ヨシここだ! の合図で私がうりゃ!・・・と前へ押し倒す。

55.jpg

木の年輪はおよそ5、60・・・やはり半世紀の歴史を確認できる。

56.jpg

我が家のために今まで風に耐えてきた木々の、役目を終えての変わり果てた姿に、
一抹の寂しさが心の中を通り過ぎる・・・この虚しさは、父親の先の言動と重なり苦しい。

57.jpg

さて、今回3本ほど倒したが、実は2本目で事件というか事故が起った。

58.jpg

父親の、ヨシここだ!の合図が無いままに木が倒れだしたのだ。
しかも父親は根本におり、気付くのが遅く体も逃げていなかった。
一瞬「このまま倒しては父親が危ない!」と躊躇する、ほんの数秒の間に、
スローモーションの如くに木は自然と左側へ倒れてしまったのだ!

59.jpg

幸い父親は無事であったが、木が倒れた左側方向は・・・ガビーン!
窓ガラスを直撃する最悪の事態は回避されたが、見事に実家へ倒れてしまった↓ ドガーン!

60.jpg

「なんで、お前倒さねぇんだぁー!」
「倒れる瞬間気付いて無かっただろ? そのままでは倒れた後の蹴り返しに危ないと思ったんだ!」
「そんなの、逃げる予測は鼻から計算してるに決まってるだろ!!」
「そんなの、わかんねーだろ!!!!」

やはり突然のぶっつけ本番は息が合わない。
こんな調子は日常茶飯事といえば多いが、今回も、よく今までも特に大きな事故が無かったものだ。

「まったく、仕事したこと、ねーヤツは仕方ねーけどよ。」
この後10回は連呼していた、いつもの父親=本当のことゆえに私も慣れっこだ。

61.jpg

被害はトタン屋根のへりが曲がった程度で済んだ=気にしなければ気づきもしない場所だ。

62.jpg

翌朝も片付けで、すたこらもっこらとパワーショベルを操作する私へ、
「まったく、仕事したこと、ねーヤツは仕方ねーけどよ。」
この後も5回は連呼していた、いつもの父親は健在。

63.jpg

そんな調子で、高校生くらいの頃から私は鍛えられてきた。
見方を変えれば・・・怒られフェチかも。 実はこんな背景で「M」も養成されたのかもしれん。

64.jpg

昔からチェーンソーには興味があり、木彫りアートなどにも挑戦したい気持ちはあった。
しかし遊びの優先順位が低かったので、ほとんど触れたことが無いので使えない。
今回も家で椅子に使いたいからと、父親にダンコロを水平に切断してもらった。
この椅子は、この日の佳き思い出となろう。

65.jpg

「防風のために(この木々は)、オラが植えたんだ。」

在りし日の、何気ない祖母の言葉を今でも覚えている。
先の父親の言葉と重なり、やはり心に重いものがのし掛かる。

先日は、そんな祖母の13回目の命日であった。
父親も母親も、その祖母の歳まで10年以上あるので、まだまだ元気な姿を望んで止まない。
息が合わない・・・などとの軽口をいつまでも願うのだ。


【お願い[手(パー)]読み終えたら[左斜め下]をクリックして気合いを注入して下さい[パンチ]
     人気ブログランキングへ
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

佐藤です

大事故にならなくて良かったですね。それにしても仲の良い親子、そしてスーパーなオヤジさんですね。羨ましいです^^
by 佐藤です (2011-04-18 19:58) 

ほらっちょ

>佐藤です・さん
仰るとおり、いつまでも、あると思うな「・・・と・・・」ですよ。
一年一年、いや1ヶ月1ヶ月、いや・・・日々ですかね。
重いものが肩に感じまする。
by ほらっちょ (2011-04-18 22:25) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0